読みやすくて一気に読んだ。
一言で言うなら、一人の女性の恨みと復讐のストーリーと言える。
ブスの視点から見た世界というのを見せてもらえた。
人間の残酷さを見たし、私もその残酷な一人なのだと思わされた。
学生時代の美人、不美人のヒエラルキーの話や、女性の容姿に対する男の残酷性については、身につまされる思いがした。
これは永遠普遍のテーマなのだろう。
美容整形の世界が何となくわかったのもよかった。
美人不美人は1ミリ、2ミリのものすごい微妙なバランスでなりたっているのだとわかり、面白かった。
彼ら彼女らは、いろんな意味でかなりの負担をしているのだと思った。
ほとんどのテレビタレントたちは整形しているようだ。
それにしても、整形外科の先生は風俗で貯めたお金で整形手術をするクライアントからお金を受け取ることをどう考えているのかは気になった。
自分ならそんな仕事はとてもできない。
ブスに対して、世の中は本当に残酷だというのはその通りだと思った。
資本主義はランクづけを教義として持っているが、それが美醜の感覚にも影響を与えているのだと思う。
美人であったとしても、老いたり、病にかかったりと、いつかはそれを失う。
そう考えると、誰しもがこの社会の犠牲者となりうる。
我々は非常に危うい社会を作り上げてきたのだと思った。
全体的に、深い人間描写はない。
出てくる男性が、美人とセックスするためには何でもするろくでもない人間しかおらず、これはこれで一面の真実なのだろうが、何か浅薄で、物足りない感じがした。
唯一深い人間性を垣間見せてくれた、ありのままの主人公の和子を愛してくれる風俗店の店員の崎村とは結ばれず、英介の方に行ってしまったのは、幸せ恐怖症という観点から深掘りしたら面白いテーマだが、大衆小説にはそれは求められていないということなのだろうか?
風俗の人間との交流がこの小説の中で、最も人間味のある感じがした。
現実世界もそんなものなのかもしれない。
私がこれを文学にするなら、崎村と結ばれて、本当の愛に目覚めるというストーリー展開にするが、多分売れないのだろう。